AnalogDiscoveryを試す/03-LCノッチ・フィルタ
2014/11/30からのアクセス回数 6941
完成しました!
特定の周波数成分を通すフィルターをバンドパス・フィルターを呼びます。
今回は、R(抵抗), L(コイル), C(コンデンサー)を使ったLCバンドパス・フィルタをAnalogDiscovery、 LTSpice、Sageを使って試してみましょう。
LTSpiceを使って以下の様なLCバンドパス・フィルターの回路を作成します。 *1
モデルは、以下のファイルを使用しました。
Runコマンド(回路図で右クリックしてRunを選択)を実行すると、以下の様な周波数特性が表示されます。 約15kHz当たりに中心周波数があります。
LCバンドパス・フィルターの回路を以下の様にブレッドボードに組み、AnalogDiscoveryと接続します。
接続は、以下の通りです。
AnalogDiscovery | ブレッドボード |
Orange: Scope Ch1+ | Vi |
Orange/White: Scope Ch1- | GND |
Blue: Scope Ch2+ | Vo |
Blue/White: Scope ch2- | GND |
Yellow: Wave Gen 1 | Vi |
最初に中心周波数15.7kHzの方形波を入力したときの出力波形を見てみます。
少しずれていますが、方形波と同じ周波数の正弦波が出力されています。
ネットワーク・アナライザを使って周波数特性を実測します。 LTSpiceのシミュレーションと同じ形の周波数特性が測定できました。
Sageを使ってVoでの周波数特性を計算してみましょう。
ここで紹介するSageのノートは、以下のURLで公開しています。
今回は、伝達関数を連立方程式を使って求めます。
Vo点での電流は、以下の関係を持ちます。
$$ i_R = i_C + i_L $$
また、Voでの電圧は、コンデンサーもコイルも同じなので、以下の関係式が成り立ちます。
$$ L \frac{di_C}{dt} = \frac{1}{C} \int_{-\infty}^t i_L(\tau) d\tau $$
入力電圧Viは、抵抗に流れた電流\(i_R\)とコイルに流れた電流\( i_L \)を使って以下の様に表されます。
$$ R i_R + L \frac{i_L}{dt} = v_i(t) $$
これらの式を組み合わせると以下の連立方程式が成り立ちます。
$$ \left\{ \begin{eqnarray} i_R & = &i_C + i_L \\ L \frac{di_C}{dt} & = & \frac{1}{C} \int_{-\infty}^t i_L(\tau) d\tau \\ v_i(t) & = & R i_R + L \frac{i_L}{dt} \end{eqnarray} \right. $$
これをラプラス変換表を使って書き替えると以下の様になります。 *2
$$ \left\{ \begin{eqnarray} I_R & = & I_C + I_L \\ LsI_L & = & \frac{1}{Cs} I_C \\ V_i & = & R I_R + Ls I_L \end{eqnarray} \right. $$
1番目の式を使って2番目と3番目の式を書き替えると以下の様になります。
$$ \left\{ \begin{eqnarray} I_C & = & C L s^2 I_L \\ V_i & = & I_L \{ R(1 + C L s^2) + Ls \} \end{eqnarray} \right. $$
これから伝達関数Hは以下の様に求まります。 *3
$$ H = \frac{V_o}{V_i} = \frac{Ls}{RCLs^2 + Ls + R} $$
上記の式から伝達関数を以下の様に定義します。
$$ H = \frac{V_o}{V_i} = \frac{Ls}{RCLs^2 + Ls + R} $$
以下の方法は、伝達関数Hの形が異なるだけで、他はAnalogDiscoveryを試す/02-CR微分回路と同じです。
Sageへの入力:
# 伝達関数から周波数特性を求める (s, f,R,C,L) = var('s f R C L') H = (L*s)/(R*C*L*s^2 + L*s + R)
表示すると、 Sageへの入力:
show(H)
ラプラス変数sをjω、ω=2πfを代入すると、 Sageへの入力:
# s = jω, ω= 2πfを代入すると H(f) = H.subs_expr(s == 2*i*pi*f)
db単位で表示するために、toDb関数を以下の様に定義します。
# 電気ではデジベルで表示するため、toDb関数を定義する def toDb(v): return 20*log(abs(v), 10)
振幅特性をプロットします。 Sageへの入力:
# 直接表示すると'unable to simplify to float approximation'のエラーがでるので、lambda式で回避した。 plot(lambda f: toDb(H(f, R=10*10^3, C=0.022*10^-6, L=4.7*10^-3)).n(), [f, 5*10^3, 100*10^3], scale="semilogx", figsize=(5, 3), plot_points=500)
位相特性は、定義から以下の様になります。
# 位相は以下の様になる Phi(f) = arctan(imaginary(H(f))/real(H(f)))
位相を度で表示するために、toDeg関数を以下の様に定義します。
def toDeg(v): return v*180/pi
位相特性をプロットすると以下の様になります。
Sageへの入力:
# プロットに結構時間がかかります(5分くらい)。 plot(lambda f: toDeg(Phi(f, R=10*10^3, C=0.022*10^-6, L=4.7*10^-3)).n(), [f, 5*10^3, 100*10^3], scale="semilogx", figsize=(5, 3), plot_points=300)
皆様のご意見、ご希望をお待ちしております。勉強会で分からなかったこと等、お気軽に問い合わせて下さい。
スパム防止に画像の文字列も入力してください。