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ATtiny85 ArduinoをlbedGemmaと命名したのには、現在よく使われいる 電子工作プラットフォームのmbedのライブラリをArduinoでも使えるように lbedというmbedライクなライブラリの紹介をするためです。
以下ではlbedライブラリを使ってlbedGemmaで遊んでみます。
デジタル入力はスイッチのオン・オフのように0と1だけを入力値とします。 以下の様なスイッチをもちいた回路をlbedGemmaで作ってみましょう。
VCCは、電池のプラスを表しlbedGemmaではUSBからの5Vに相当します。その下にタクトスイッチSWが接続され、 10KΩの抵抗を通り、GND(電池のマイナス)につながっています。途中Switchというピンがタクトスイッチと抵抗の間につながれています。
この抵抗のあることで、スイッチが押されたときに電源のプラスとマイナスが直結し、ショートすることを防いでくれます。 この抵抗はスイッチがオフの時に、Switchピンの電圧をマイナス付近に落としてくれるので、プルダウン抵抗と呼ばれています。
この回路をlbedGemmaのブレッドボードに追加してみます。
「8pinoではじめるミニマム電子工作」のスイッチ・ボタンのスケッチでは、 以下の様に書いています。
int led_pin = 1; // GPIO # LED on board int sw_pin = 2; // GPIO #2 void setup() { pinMode(led_pin, OUTPUT); pinMode(sw_pin, INPUT); } void loop() { if (digitalRead(sw_pin) == HIGH) { digitalWrite(led_pin, HIGH); delay(250); digitalWrite(led_pin, LOW); delay(250); } }
上記のスケッチをlbedを使ったスケッチは以下の様に入力します。 最初の#includeはこれから、TinyWireMとlbedGemmaというライブラリを使うことを 表します。*1
DigitalOutは、デジタル出力のクラス名で、led(1)は1番ピンをデジタル出力するledという変数を宣言しています。 DigitalInは、デジタル入力のクラス名で、sw(2)は2番ピンをデジタル入力するswという変数を宣言しています。
setup関数では特に処理を行いません。
loop関数では、swがHIGHの時にledにHIGHをセットし、250ミリ秒待ち、 ledにLOWをセットし、250ミリ秒待つように処理します。 これで、スイッチが押されている間、LEDが250ミリ秒間隔で点灯と消灯を繰り返します。
mbed風の変数を参照するとピンから値が読まれ、変数に代入するとピンに値が書き込まれる 書き方の方が直感的で分かりやすいと思うのです。
#include "TinyWireM.h" #include "lbedGemma.h" DigitalOut led(1); // GPIO #1 LED on board. DigitalIn sw(2); // GPIO #2 void setup() { } void loop() { if (sw == HIGH) { led = HIGH; wait_ms(250); led = LOW; wait_ms(250); } }
実際にブレッドボードでこのスケッチを動かしてみましょう。
スイッチを押すと電源のプラスとSwitchピン2番が接続され、swの値がHIGHになるので、 if文の中の処理が実行され、LEDが点滅します。
次に、以下の様な抵抗を電池のプラス側につないだスイッチ回路を作ってみましょう。
ブレッドボードでは、マイナスにつながっていた抵抗をプラス(赤い線)につなぎ、 スイッチのプラスにつながっていた線をマイナスにつなぎます。
スケッチは、スイッチが押されたときにGND(電池のマイナス)につながるので、 if文のHIGHからLOWに変更します。 これで、先ほどと同じ動作をします。
#include "TinyWireM.h" #include "lbedGemma.h" DigitalOut led(1); // GPIO #1 LED on board. DigitalIn sw(2); // GPIO #2 void setup() { } void loop() { if (sw == LOW) { led = HIGH; wait_ms(250); led = LOW; wait_ms(250); } }
スイッチを追加するたびに抵抗をつなぐと部品点数が増えるので、 Arduinoなどの最近のマイコンにはデジタル入力端子にプルアップ抵抗を内部で付けてくれる 機能があります。
この機能を使うと回路は以下の様にとても簡単になります。
ブレッドボードも抵抗を外します。
デジタル入力ピンにプルアップ抵抗をセットするには、 setup関数内で、swのmodeをINPUT_PULLUPにセットします。
#include "TinyWireM.h" #include "lbedGemma.h" DigitalOut led(1); // GPIO #1 LED on board. DigitalIn sw(2); // GPIO #2 void setup() { sw.mode(INPUT_PULLUP); } void loop() { if (sw == LOW) { led = HIGH; wait_ms(250); led = LOW; wait_ms(250); } }
実際に動かしてみましょう。
もし、modeでPULL_UPの設定をしなかったらどうなるのでしょう。 setupのmodeの設定部分を//でコメントアウトして動かしてみてください。 スイッチを押さなくても点滅しますね。
これはスイッチ端子の電圧が不定となりスイッチを押していなくてもLOWに近い値になっているからです。
Arduinoでは電圧を変えるアナログ出力機能はありません。その代わりに一定の周期のパルス幅の割合(デューティ比) を変えるパルス幅変調方式を使ってアナログ出力を行っています。
Wikiのデューティ比 からデューティ比の説明図を引用します。
デューティ比が大きいと電圧が掛かっている時間が長く、 デューティ比が小さいと電圧が掛かっている時間が短くなります。 これで、LEDやモータに流れる電流の量を調整することで、明るさや回転の強さをコントロールしています。 また、抵抗とコンデンサーを使った低周波フィルターを通すとデューティ比の変化が波の形で出力します。
ATtiny85でPWMが使えるのは、3番ピンの#4、5番ピンの#0、6番ピンの#1の3つです。
PWMの回路は、以下の様にします。
LED出力には、5番ピンの#0を使用します。抵抗値は470Ωにしました。
lbedのPWMOutクラスを使ったスケッチを以下に示します。
PwmOutはのクラス名で、led(1)で1番ピンにアナログ出力(PWM)するledという変数を宣言しています。 ledへの代入する値は、デューティ比を実数で与えます。とてもすっきりしたスケッチになります。
#include "TinyWireM.h" #include "lbedGemma.h" PwmOut led(0); // PWM LED void setup() { } void loop() { for (led = 0.0; led < 1.0; led = led + 0.02) wait_ms(20); for (led = 1.0; led > 0.0; led = led - 0.02) wait_ms(20); }
電子工作の回路をみるとLEDにつなぐ抵抗の値が330Ωだったり、今回のように470Ωだったりしますが、 この値はどのようにして決めるのでしょうか。
LEDの場合、どの程度の電流を流すかによって抵抗の値が変わります。 LEDに流す電流はデータシート呼ばれる部品の規格を説明した資料で調べます。
秋月のサイトから赤色LED(OSDR3133A)をみると、 「抵抗の計算方法 があります。
これに沿って説明します。 赤色LEDの順方向電圧(VF)は、2.0Vであり、IF=20mAとあります。 これは、LEDに電流が流れたときに電圧が2.0V下がることを意味しています。
通常LEDの電流はIFの半分10mA以下で使うのがよいとされおり、 最近のLEDは輝度も高いので5mA程度でも十分と思われます。
470Ωでは、抵抗による電圧降下はオームの法則から抵抗×電流ですから、 以下の等式から電流は6.3mAと求まります。
$$ 5V = 2.0 + 470 \times 6.3mA $$
スケッチを実際に動かしてみましょう。LEDの明るさが、もわもわっと変わります。
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