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このページで紹介したsageノートブックは、以下のURLから参照することができます。
http://www.sagenb.org/home/pub/1048/
sageの式で変数として認識させるには変数をvar関数で宣言しなくてなりません。
変数の宣言は、
var('変数名')
複数の変数を宣言する場合には、スペースを空けて指定します。 宣言される変数を参照したりする場合には、
x, y = var('x y')
のようにpython変数x, yに宣言したsage変数を代入します。
変数の値を指定して、関数の返す値を調べるには、
f1(x=1.5)
のように式を表す変数にカッコを付けて、x=1.5と値を指定するとその時の関数の値が表示されます。
sage入力:
x = var('x') f1 = (x - 1)*(x^2 - 1) f1(x=1.5)
0.625000000000000
変数をx, yと複数存在する場合の例をです。f5に\(f5(x,y)=x2+y\)を定義し、f5(x=2, y=3)でx=2, y=3の時の値を出力します。
sage入力:
var('x y w') f5=x^2 + y f5(x=2, y=3)
7
規則の代入には、subs_exprを使います。
sage入力:
f6=x^2 + 1; f6
x^2 + 1
sage入力:
f6.subs_expr(x^2 == w)
w + 1
sageで関数を定義する方法が2つあります。
です。
手続き的な関数を定義する場合には、python関数を使うと便利です。
pythonでは
def 関数名(引数のリスト): 関数の本体
のように定義します。
以下にx3を返す関数cubeをpythonの関数を使って定義しました。
sage入力:
def cube(x): return x^3 cube(2)
8
x, y = var('x y') cube(x+y)
(x + y)^3
つぎにlambda式を使って関数を定義する方法を示します。 x3のように式で表現できる場合には、lambda関数が便利です。
lambda 変数のリスト: 式
のように定義します。 先ほどと同じx3を返す関数の例を以下に示します。
sage入力:
f = lambda x: x^3 f(2)
8
f(x+y)
(x + y)^3
数式処理で助かる機能は、方程式の解法でしょう。
方程式の解法は、solve関数を使って以下のように行います。
solve(解放したい関数また関数のリスト, 解を得る変数)
例として、\(f(x)=ax+b\)の一次方程式を解いてみます。結果から\(x=−b/a\) が得られたので、\(a=2,b=1\)を代入して解の値を取得します。
sage入力:
# 方程式の解法 var('x a b') f = a*x + b sln = solve(f, x); sln
[x == -b/a]
x = -b/a x(a=2, b=1)
-1/2
これだと、解から式をもう一度入力しなくてはなりません。そこで、a,bも変数として関数を定義し、solveでa=2,b=1をセットするようにします。こうすれば簡単に解の値が確認できます。
sage入力:
var('x a b') g = lambda x, a, b : a*x + b solve(g(x, a, b), x)
[x == -b/a]
solve(g(x, a=2, b=1), x)
[x == (-1/2)]
解の値がほしいときには、find_root関数で数値解析で値を計算します。
find_root(関数, 計算する変数の開始値、終了値)
先ほどの関数g(x):a=2,b=1の解をx=−1,1 の範囲で数値解析します。
sage入力:
find_root(g(x, a=2, b=1), -1, 1)
-0.5
一次方程式ではあまりに簡単なので、多項式の解を求めてみます。 $$ f(x)=x^3−2x+4 $$
のプロット図を以下に表示します。x軸と交差しているのはx=−2 です。-1と1付近に極値があります。
sage入力:
var('x') f = x^3-2*x+4 plot(f, -2.5, 2.5)
solveの結果、\(x=−2,x=1−i,x=1+i \)を得ました。 sage入力:
solve(f, x)
[x == (-I + 1), x == (I + 1), x == -2]
sage入力:
factor(f)
(x + 2)*(x^2 - 2*x + 2)
plotで可視化することでfind_rootでの計算範囲を大まかに把握することができます。
図から-3から3の間に解があることが見て取れたので、この範囲で数値解を求めます。 sage入力:
find_root(f, -3, 3)
-1.9999999999999949
同様にsolveに関数に式のリストを与えることで、連立方程式の解を得ることができます。
$$ \begin{eqnarray} x^2 - 2y &=& 2 \\ x - y &=& 1 \end{eqnarray} $$
の解を例に以下に示します。
sage入力:
var('x y') f = [y == 1/2*x^2 - 1, y == x - 1] solve(f, x, y)
[ [x == 2, y == 1], [x == 0, y == -1] ]
上記関数のプロット結果は、以下のとおりです。
sage入力:
p1 = plot(lambda x : 1/2*x^2 - 1, (x, -1, 3)) p2 = plot(lambda x : x - 1, (x, -1, 3)) (p1+p2).show()
もう一つ、
$$ \begin{eqnarray} x^2 + y^2 &=& 1 \\ y &=& x - 1 \end{eqnarray} $$
の解を例に以下に示します。
sage入力:
var('x y') f = [x^2 + y^2 == 1, y == x - 1] solve(f, x, y)
[ [x == 1, y == 0], [x == 0, y == -1] ]
この関数をimplicit_plotを使って関係式の形をそのまま使ってプロットしてみます。 円のなので、aspect_ratio=1としました。
sage入力:
var('x y') p1 = implicit_plot(x^2 + y^2 == 1, (x, -1, 1), (y, -1, 1)) p2 = plot(lambda x : x - 1, (x, -1, 1)) (p1+p2).show(aspect_ratio=1)
高校で習った、導関数をsageを使って導いてみましょう。
関数\(f(x)=\frac{1}{2} x^3\)とします。
平均変化率は、\(g(x)=hf(x+h)−f(x)\)を以下のように定義します。
sage入力:
# 導関数 def f(x): return (x^3)/2 var('x, h') g=(f(x + h) - f(x))/h; g
1/2*((h + x)^3 - x^3)/h
g(x)を展開し、整理すると
sage入力:
g1= g.rational_simplify(); g1
1/2*h^2 + 3/2*h*x + 3/2*x^2
となります。
ここで、h→0 の極値を取ったものが求める導関数\(f′(x)\)です。
sage入力:
limit(g1, h=0)
3/2*x^2
結果は、f(x)をxで微分したものと同じになります。
sage入力:
diff(f(x), x)
3/2*x^2
高校で習う微分の公式は、
です。
sageの微分diff関数は、以下のように使います。
diff(関数, 微分する変数)
上記公式のsageで結果は、以下のようになります。
sage入力:
# 微分 x, c, n = var('x c n') f = function('f', x) g = function('g', x) print diff(c, x) print diff(x^n, x)
0
n*x^(n - 1)
sageで変数xの関数fを以下のように定義し微分すると、\(f′\)は以下のようにD[0](f)(x)となります。
x = var('x') f = function('f', x)
これで変数xの関数fを定義したことになります。
sage入力:
diff(f, x)
D[0](f)(x)
このD[0](f)を\(f′\)と読み替えると、
sage入力:
print diff(c*f, x) print diff(f+g, x) print diff(f*g,x) print diff(f/g, x).simplify_full() print diff(1/g,x) print diff(f(g), x)
c*D[0](f)(x)
D[0](f)(x) + D[0](g)(x)
D[0](f)(x)*g(x) + f(x)*D[0](g)(x)
(D[0](f)(x)*g(x) - D[0](g)(x)*f(x))/g(x)^2
-D[0](g)(x)/g(x)^2
D[0](f)(g(x))*D[0](g)(x)
は、以下のようようになり、微分の各公式を表しています。
以下の関数を微分した結果を示します。
sage入力:
# いろんな関数の微分 print diff((x^2+1)^3).factor() print diff(sin(x)^3, x) print diff(arcsin(x), x) print diff(exp(x), x) print diff(log(x), x)
6*(x^2 + 1)^2*x
3*sin(x)^2*cos(x)
1/sqrt(-x^2 + 1)
e^x
1/x
微分の応用として、接線の方程式とその法線を計算してみましょう。\( f(x)=e^{−x^2}\)の接線は、
$$ y−y_1=f′(x_1)(x−x_1) $$
となります。 また、法線は、 $$ y−y_1=\frac{1}{f′(x1)}(x−x_1) $$ となります。
微分した式をgとし、x=1での接線と法線を計算し、プロットしてみます。
sage入力:
f = exp(-(x^2)); f
e^(-x^2)
g = diff(f, x); g
-2*x*e^(-x^2)
m = g(x=1); m
-2*e^(-1)
p1 = plot(f, (x, -2, 2)) p2 = plot(m*(x-1)+f(1), (x, -2, 2)) p3 = plot(-(x-1)/m+f(1), (x, -2, 2)) pt = point([1, f(1)]) (p1+p2+p3+pt).show(aspect_ratio=1, ymin=-1, ymax=2)
sageでは積分は、integrate関数で計算します。
integrate(被積分関数, 積分変数) また integrate(被積分関数, 積分変数, 積分範囲)
とすると定積分を計算します。
\(\int xdx\)を計算した後、その微分を求めています。
sage入力:
f = integrate(x); f
1/2*x^2
diff(f)
1
以下の関数を積分した結果示します。
sage入力:
# いろんな関数の積分 x = var('x') c = var('c') f = function('f', x) g = function('g', x) print integrate(c, x) print integrate(1/x, x) print integrate(exp(x), x) print integrate(log(x), x) print integrate(sin(x), x) print integrate(diff(f, x)/f(x), x)
c*x
log(x)
e^x
x*log(x) - x
-cos(x)
log(f(x))
次に定積分\( \int_0^{\pi/2}sin(x)dx \) の計算を示します。
sage入力:
integrate(sin(x), x, 0, pi/2)
1
もう一つ $$ \int_0^3 x^2 + 2 sind(x) dx $$
の例を示し、
sage入力:
integrate(x^2+2*sin(x), x, 0, 3)
-2*cos(3) + 11
上記結果を数値とすると以下のようになります。
N(_)
12.9799849932009
数値積分は、numerical_integral関数を使って計算します。
numerical_integral(被関分館数, 積分範囲)
で戻り値は、積分結果と誤差を返します。
以下は、\(sin(x\))を0から\(\pi\)で数値積分した結果です。
sage入力:
sigma, error = numerical_integral(sin(x), 0, pi); (sigma, error)
(1.9999999999999998, 2.2204460492503128e-14)
積分の応用例として、サイクロイドの計算をしてみます。
サイクロイドは、tをパラメータとして、以下のような式で表されます。
$$ \begin{eqnarray} x &=& 2(t-sin(t)) \\ y &=& 2(1-cos(t)) \end{eqnarray} $$
この曲線の長さを計算すると、
$$ \int_{0}^{2\pi}\sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2}dt $$
となります。解析解では、この結果は16となります。
sage入力:
t = var('t') x = 2*(t-sin(t)) y = 2*(1-cos(t)) parametric_plot([x, y], (t, 0, 2*pi))
cycloid = sqrt(diff(x,t)^2+diff(y,t)^2)
残念ながら、定積分は結果がでませんでした。
integrate(cycloid, t, 0, 2*pi)
integrate(sqrt(4*(cos(t) - 1)^2 + 4*sin(t)^2), t, 0, 2*pi)
数値積分で、期待した結果となりました。
numerical_integral(cycloid, 0, 2*pi)
(15.999999999999998, 1.7763568394002502e-13)
皆様のご意見、ご希望をお待ちしております。